良かれが裏目に?「丁寧すぎる」が招くトラブルとは?

起業のリアル

ビジネスにおいて、丁寧な対応や親切心は非常に重要です。
顧客満足度を高め、信頼を得るためには、丁寧さや思いやりのある対応が欠かせません。
しかし、時として「過剰な丁寧さ」がトラブルを招くこともあるのです。

今回は、丁寧すぎる対応がもたらす具体的なトラブルを、実例を交えながら解説していきます。

仕事でお客さんとトラブルになることが多い、そんな方はぜひ今回の記事を読んでみてください。
思い当たる部分があったら、改善のチャンスです!

1. お客様を「神様」扱いして勘違いされる

「お客様は神様です!」という言葉はよく使われますが、この言葉通りに過度なサービス精神を発揮すると、顧客が自分を「特別扱い」されるべき存在だと勘違いしてしまうことがあります。

最初は、特別にサービスをしていたことに対して「ありがとう」という感謝をされていたものの、次第にその「特別サービス」が当たり前のようになっていきます。

また、契約が決まった際に、「ありがとうございます」と伝えることは重要ですが、これも過度に伝えることで顧客に勘違いをさせることになるので注意しなくてはいけません。
「契約してやった!」
「利用してやった!」
そのように思わせてしまうと、顧客はあなたを上から見るようになります。

感謝の意を伝えるのは重要ですが、へりくだる必要は全くありません。
あなたは、自分の仕事で相手に貢献するのですから、顧客から「お金をいただくだけ」ではないはずです。

実例:

ある小さな個人経営のカフェのオーナーは、毎日常連客に対して非常に丁寧な対応をしていました。
特別サービスとして、注文外の無料デザートや飲み物を提供することもしばしば。

しかし、ある日からその常連客は「今日は無料のデザートはないの?」と不満げに聞いてくるようになりました。
それだけでなく、「いつも席を確保しておいて欲しい」や「閉店後も少しだけ長居していい?」と、無理な要求をするようになりました。

このように、過剰なサービスは一部のお客様にとって「当たり前」になってしまうことがあります。
丁寧な対応がかえって過剰な期待や無理な要求を生み出し、ビジネスのバランスを崩してしまうことがあるのです。

対策:

顧客に対して敬意を払いつつも、できないことは「No!」とはっきり伝えるようにしましょう。

そのためにも、ビジネスのルールやポリシーを明確にしておくことが重要です。

常連のお客さんを特別扱いしたくなる気持ちも分かりますが、すべてのお客様に対して公平で一貫したサービスを提供することは、誤解や勘違いを防ぐことに繋がるので、最終的にはあなたを守ることになるのです。

2. サービスの領域を超えて親切にすることで依存される

ビジネスでは「お客様第一」が基本ですが、親切心が行き過ぎてしまうと、顧客に過度に依存されてしまうケースがあります。
サービスの範囲を超えた対応を続けることで、顧客が「特別なサービスを受ける権利がある」と感じるようになり、それがトラブルの元になることもあります。

サービスの範囲内では顧客に最大限貢献しつつも、サービス外のことについては対応できない旨を伝えることも重要です。
もちろん、ただ「できません!」と突っぱねるのではなく、何かヒントになる情報提供をしたり、誰か専門家を紹介したりするなどフォローは必要です。
ただし、このフォローも行き過ぎると顧客が依存してしまうので、ほどほどにしておきましょう。

実例:

あるフリーの女性webデザイナーは、クライアントに対して手厚いサポートを心がけていました。
「クライアントの役に立ちたい」という気持ちが強く、「web以外でもお困りのことはありませんか?」と、web以外の頼み事も聞くことがありました。

すると、そのクライアントは、webに関係ない些細な問題でも彼女に頼るようになり、ついには「ちょっとこの調べ物をしておいてくれないか?」「店の予約をしておいてくれないか?」といったwebとは一切関係ない要求までするようになりました。

最初は「親切」として受け入れられた対応が、次第に「当然のサービス」として期待されるようになり、最終的には彼女を「自分の秘書」と勘違いするようにまでなったのです。

対策:

提供するサービスの範囲や料金を明確にし、契約段階でしっかりと合意を得ることが大切です。
追加作業やアフターサポートには適切な料金を設定し、ビジネスとしての健全な関係を保つことを意識しましょう。

「顧客が困っているから」と、全く関係ない部分までサポートする必要はありません。
下手に気を回して、あれこれと先回りして行おうとすることは、親切・丁寧に映りますが、相手を依存させる原因を作ることになります。

「人の役に立とうとする」心構えは重要ですが、それには「やり方」があります。

母親が子どもにやってあげるようなやり方は、ビジネスはもちろんですが、自立した大人同士の関係では適切ではありません。
まして、ビジネスをしている人間であれば、まず自分で問題解決を目指すことは当たり前です。

これらを大前提とした助け合いであれば、お互いに大人の関係を維持したまま人の役に立つことができます。

3. ビジネスの領域を超えた関係を作ることでトラブルになる

これまで、丁寧すぎる対応についてお伝えしてきましたが、それ以外にも、過剰な親しみや、ビジネス関係を超えた個人的な関係を作ってしまうことでも、トラブルに発展することがあります。

特にビジネスにおける感情的なつながりが強くなりすぎると、プロフェッショナルな関係が崩れてしまい、期待がすれ違ったり、最終的に大きな誤解を生むことがあります。

実例:

あるコンサルタントは、クライアントに対して親身に接し、ビジネスだけでなくプライベートの相談にも応じるようになりました。
クライアントも次第にそのコンサルタントを「友人」のように感じるようになり、仕事の範囲を超えてプライベートで頻繁に食事に行ったり、家族ぐるみで出かけたりするようにもなりました。


関係は順調と思われましたが、コンサルタントに対する期待が膨らみすぎ、ビジネス上の問題で意見が食い違った際に関係が破綻してしまったのです。

プライベートな要素が絡むと、問題が感情的になりがちで、冷静に対処することが難しくなります。

人間は距離が近づくとお互いに気が緩みます。
これはビジネス・プライベート関係なく、様々な人間関係で起こることですので、注意が必要です。

対策:

ビジネスにおいては、一定の距離感を保つことが必要です。
クライアントと良好な関係を築くことは大切ですが、ビジネスとしての枠を超えた対応をしすぎないよう注意しましょう。
最初は丁寧に接していても、距離が近付くとつい友達感覚になってしまうこともあります。

けれども、顧客と友達は違います。

どれだけ顧客と信頼関係を深めても、プロフェッショナルな姿勢を常に維持することが重要です。

まとめ

ビジネスにおいて、丁寧で親切な対応は信頼を築くために重要な要素ですが、度が過ぎると顧客に誤解を与えたり、依存されたり、関係が崩れる原因になります。

お客様を神様扱いしすぎると、過剰な期待が生まれ、サービスの範囲を超えた親切心は依存関係を作り出してしまいます。また、ビジネスの領域を超えた個人的な関係は、トラブルの火種になる可能性が高いです。

適切な距離感とルールを守りながら、健全なビジネス関係を築くことが成功の鍵です。
あなたのビジネスにとって最適なバランスを見つけ、長期的な信頼関係を構築していきましょう。

「なんだかドライだなぁ…。私はもっとみんなで楽しくビジネスをしたいんだけどな。」という気持ちも理解できます。

この辺りの塩梅は非常に難しいもので、今回紹介させていただいたものの、実際に多くの顧客と接していきながら感覚を磨いていくしかありません。

できるだけトラブルになる関係を作らないためにも、今回の記事をぜひ参考にしていただければと思います!

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